2012年10月13日

線画:細く・繊細に

今回から「古臭い絵柄からの脱却」をテーマに、流行の絵柄の特徴を見ていきます。


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(クリック拡大可能)


画像はうちのでこっぱち子を2つ並べたものです。

絵柄の話はとりあえず置いといて、印象としてどちらが古臭く見えますか?



・・・左の方が一昔前な印象を受けると思います。





今風の流行絵の特徴として、線の細さが挙げられます。

現在は「線が細く、強弱のあまりない、必要最低限な情報量」の線画が主流です。

無駄のない洗練された線画であると言えます。



2000年頃から急激にパソコンが普及し出し2012年の現在は、どの家庭にもパソコンがあるのが当たり前になりました。

今でこそ誰でも簡単にデジタルでイラストを描けるようになりましたが、2000年代はまだアナログデジタルが入り混じった時代でもあります。

そしてアナログイラスト時代から線画は強弱をつけたものが良いとされてきました。

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現在は線画の強弱による表情付けは必要最低限となり、全体的に単調な線になっています。

線画が太く、強弱もしっかりつけてあると、少年漫画のような力強さや熱血感が感じられ、現在主流のイラストが求める繊細な表現とは違ってきてしまうからです。


線画を更に繊細に目立たなくする為に、加工や色付けを加える事もあります。



性能の良いお絵描きソフトが手軽に手に入るようになったのも一つのポイントです。

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:SAI「鉛筆ツール」サイズ:0.7(最小)、筆圧設定無しでそのまま
:SAI「鉛筆ツール」サイズ:0.7(最小)、筆圧「濃度」「サイズ」にチェック


同じ一番細い線でも、筆圧感知があるだけで濃度や太さに違いが出て、更に細く繊細に見せる事が可能です。


ペンタブレットを使った筆圧感知がうまくいかない場合はこちらをご覧ください↓

【SAI】「筆圧を感知しない!」の対処法



ポイントは細く繊細な線です。


※流行の絵柄の特徴です。あくまで流行であって、これが絶対ではありません。


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2012年10月15日

線画:なじませる

今回はデジタルイラストならではの線画の加工方法を紹介します。

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上は前回記事で紹介した、ただの「細い線画」になります。

これだけでも悪くはないんですが、もう一手間加える事で更に線画を馴染ませ繊細なイラストにする事が可能です。

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(クリック拡大可能)


こちらは「細い線画」に簡単な「加工」を加えたものになります。

最初の画像と比べてより繊細な印象を受けると思います。





線画に色を塗る - 色トレス (使用ソフト:SAI)


色トレスとは、周りと馴染むように線画に色を塗る事です。

アニメや柔らかい雰囲気にしたい萌え系イラストではよく使われる手法です。

アナログの場合もインクの色を何色か使い分けて線画を描いたりしますが、デジタルならそれよりもずっと簡単に出来るので是非挑戦してみましょう。



@「線画レイヤー」の上に「新規レイヤー」を作る。


A「新規レイヤー」を「下のレイヤーでクリッピング」する。


クリッピングとは
クリッピングとは特定範囲のみを描画対象とする機能の事で、「下のレイヤーでクリッピング」した場合は下のレイヤーで描画してある部分にしか手を加える事が出来ず、下のレイヤーで描画してある部分以外にはいくらはみ出そうと透明になります。

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線画レイヤー」の上の「新規レイヤー」にいくら色を置いても、

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クリッピング」ボタンを押せばこの通り、下の「線画レイヤー」部分以外に色はつきません。

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下のレイヤーでクリッピング」は「フォルダ」も対象になります。

フォルダ」の中にパーツで分けた線画レイヤーが何枚入っていようと、「フォルダ」を一つのレイヤーの塊として扱います。



基本的に 肌の線画→肌より少し濃い目の色、髪の線画→髪より少し濃い目の色 で色トレスするので、線画はパーツごとに分けておいた方がやりやすいです。

(線画がパーツごとに分かれていても、「線画フォルダ」を指定して自動選択すれば、下塗りの時も全ての線画が一つのレイヤー上にあるように範囲選択が行えるので安心です。)

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Bクリッピングした「新規レイヤー」にそれぞれベース色を置いたら「不透明度保護」にチェックを入れる。


Cそれぞれの「新規レイヤー」に更に色を乗せて馴染ませ、色トレス完成。


※色トレスのコツ
基本的には周りより一段濃い色を線画に塗りますが、同じの線画でもただ茶色一色ではなく、光が当たっているところは明るく影の部分はより暗めに色を置くと雰囲気が良くなります。

また絶対に一段濃い色で色トレスしないといけないわけではなく、注目させたい場所の線画を意図的に明るくしたり、赤や黄色などの原色を配置し、アーティスティックにしても構いません。

自分の好きな色を使いカラフルな線画にしても面白いと思います。





柔らかい印象にする - ぼかし(ガウス) (使用ソフト:photoshop)


この方法は複製したもう一つの線画をぼかし、色をつけ、元の線画と重ねる事で、イラスト全体を柔らかく見せる効果があります。

シャープで繊細なイラストが流行っている現在の線画加工は色トレスのみで、最後にイラスト全体をぼかす事が多いので、この加工は場合によっては少し古く見えるかもしれません。

しかし優しい笑顔や思い出の場面など、温かい柔らかさを表現するのには向いています。

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茶色は落ち着きや懐かしさ、赤系は女の子らしさ、は神秘的な雰囲気が表現しやすいです。

この4つの画像は濃度100%なので強過ぎますが、上の方で紹介した右側の色トレス+ガウスのものはショッキングピンクのぼかした線画を不透明度30%にして被せています。

イラストに合った色合いと不透明度で使用しましょう。



以下はphotoshopでの説明になりますが、無料の画像加工ソフトGIMPPixiaでも出来ます。

無料ペイントツール紹介
有料ペイントツール紹介

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@「線画レイヤー」を右クリックし、「レイヤーを複製」する。

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A複製した線画(線画のコピー)を「フィルタ」→「ぼかし」→「ぼかし(ガウス)」(1〜5px程度、今回は5px)でぼかす。


Bぼかした「線画のコピー」の上に「新規レイヤー」作成。


C「新規レイヤー」を「レイヤー」→「クリッピングマスクを作成」(photoshop6.0以下は「レイヤー」→「下のレイヤーとグループ化」)でクリッピングする。

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Dクリッピングした「新規レイヤー」に好きな色を「バケツ」で流し込む。


Eイメージに合う色を見つけたら「レイヤー」→「下のレイヤーと結合」で、ぼかした「線画のコピー」に色をつける。


Fぼかして色をつけた「線画のコピー」レイヤーの不透明度を自然な%に調整(20%〜80%程度、お好みで)して完成。





通常、線画加工は全体の色塗りが終了してから行います。

イラストの雰囲気や表現したいイメージにあった加工をほどこし、線画を絵に馴染ませましょう


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2012年10月18日

反射光でレベルアップ!

色を塗る前に、ここを押さえればイラストの表現力がぐんとUPする是非覚えておきたいポイントがあります。


それは反射光を使う事。


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同じような2つの球があります。

左のイラストでも球に見えますが、より立体感や空気感を感じられるのは右側の球になります。

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左上の光源(太陽や蛍光灯など)から発せられる光(直接光)を受けて、球には(shade)と(shadow)が生まれます。


(shade)は光によって物体そのものに出来る陰影の事。

(shadow)は光が物体に遮られて地面などに出来る黒い部分の事。


ここで押さえておきたいのが(shade)部分を照らす反射光になります。

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上から照らされて、下にいくにつれ陰が段々と暗くなるはずなのに、途中でぼんやり明るくなっている。

これが反射光の当たっている部分です。



反射光とは物体に直接当たらずに、大気中の塵や水蒸気、壁や地面などに当たって反射し、間接的に物体を照らす光の事です。

私達の身の周りのほぼ全ての物には反射光が当たっています。

大気も何もない宇宙空間に浮かんでいる月の場合、片側を太陽に照らされても他にその光を反射するモノがないので、光が当たっていない側は真っ黒になっています。


また反射光反射した物体の色も映し出すので、青い面に置かれたイラストの反射光みを帯びていて、球もくなっています。



陰を照らし、反射したものの色を反映する光、反射光

反射光を描く事で存在感や立体感などリアルな説得力が生まれ、イラストがより魅力的になります。

影の中の薄明かりなので、鏡のようなよほどテカテカした材質でない限り暗めです。

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上図で一番暗く見えるのは左上光源から一番遠い場所ではなく、光源からの直接光反射光に挟まれた枠の部分になります。

また明かりの隣の陰はより暗く見えるので、その部分に濃い色のラインがあるように見えます。

このラインを使った陰の表現はイラストでもよく使うので覚えておきましょう。





光と影、そして反射光の関係を分かりやすく紹介してある動画があったので紹介します。





リアルよりリアリティ」と、動画の作者きぃら〜☆さんがおっしゃってますが、まさにその通り。

全てを現実に忠実に描くのではなく、見栄えがよくなるように効果的な嘘をつく事がイラストを描く上で上手く見せるポイントだったりします。


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2012年10月22日

塗り:今流行りの塗り方は?

使用ソフトやブラシによって塗り方は変わりますが、最近のイラストの塗り傾向を分かりやすくする為に「シャツのシワ」を4つの塗り方で塗ってみました。

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@Cまででどの塗り方が今風だと思いますか?



個性としての話なら正解はありませんが、最近よく見かける塗り方はBCになります。

それぞれの塗りを詳しく見ていきます。



@エアブラシ

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PCで絵を描き始めたばかりの初心者さんにこのような塗りが多いです。

PCならではのお手軽エアブラシ塗りに喜ぶも、ツールが上手く扱えず大雑把な塗りに。

薄く柔らかく塗りたいけれどどうすればいいか分からず、とりあえずブラシ濃度(強さ)を下げて塗った為、ムラになってしまっています。

はじめに大きくベタ塗りをし要らない部分を消しゴムで消せばいい細かいところも、ブラシサイズを小さくして無理に塗ろうとし、またブラシ濃度も低い為濃くしようと何度も何度も塗っているうちにムラが大変な事になるパターンです。

昔の私です!(´`;



A旧・アニメ塗り

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ベースカラーと影の色がパキッと分かれているアニメ塗り

基本ベタ塗りなので初心者でもそれなりの見栄えのイラストにする事が出来ます。

前回記事(塗り:反射光でレベルアップ!)で紹介した反射光や光と影の変わり目に出来る濃いラインも反映されていますが、このイラストの場合やや古い印象を受けます。

現在のアニメの主流は全体的に薄く明るく軽い画面ですが、10年前のアニメ濃い色遣いで重たく派手な画面が多く、このイラストは後者を彷彿とさせるからです。

このイラストの場合、影の色が派手で、更に濃いラインも太く主張が強過ぎる為、最近の絵柄には見えません。



B水彩筆&水彩境界

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SAI水彩筆水彩境界を使用した塗り。

アニメ塗りでもギャルゲ塗りでもなく、アナログのような筆のあとをわざと残し、それを味とする塗り方です。

基本的にマーカーなどでベタ塗り→で色を延ばしたり混色したりして調子を付けていきます。

CG臭くなり過ぎず、どことなくスタイリッシュな印象も受けるので、男の子やクールな雰囲気の画面を描くのに向いています。

SAI水彩境界を使用することで濃いラインを描かずとも、似たようなエッジが出る効果を一瞬で得る事が出来ます。



Cギャルゲ塗り&グラデーション

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基本アニメ塗りで、必要な部分をなめらかにぼかす塗り方をギャルゲ塗りと呼びます。

どちらかというとシンプルな塗りで、加工やエフェクトと相性が良く、画面が映えます。

その名の通りギャルゲーやラノベの表紙に多い塗りで、女の子のなめらかな肌や髪の毛を描くのに最適です。

今回はそれ+全体に薄いグラデーションをかけ、軽く変化を出しています。

影にもなめらかなグラデーションを多用する事で透明感や鮮やかさを演出し、とても見栄えは良くなりますが、個性的な絵柄や色遣いがないと没個性になりやすい塗り方とも言えます。





どれが正解というのはないので、自分の絵柄にあった、好きな塗り方を試してみてください。

ちなみに私はアニメ塗りリアルになりきれないリアル塗りが多いです(´`;


上のイラストは塗りだけにスポットを当てて説明しましたが、実際には線画に色トレスをほどこしたり、更に全体に加工を加えたりして、より一層今風にする方法があります。

その方法もあとに紹介していきますが、今回はここまで!


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2012年10月23日

下塗りメイキング(共通)

はっきりと線画を描かなかったり、ほぼ1枚のレイヤーで仕上げる厚塗りの場合は別ですが、前回(【流行】塗り:今流行りの塗り方は?)で紹介した塗り方は全て「下塗り」をしています。

下塗りは塗りの基盤となり、きちんとやったかどうかで見栄えや効率が変わってくるので丁寧にやりましょう。

また下塗りをやりやすくする為に線画も綺麗に仕上げましょう。
(線画が閉じていなかったり、主線が定まっておらず何本も線が引いてあると、下塗り範囲を自動選択で選び辛くなるため。)



SAIを使った下塗りのやり方を説明します。





塗る範囲を選択してみよう


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色トレス前の例の線画です。


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SAIのツールパレットにある「自動選択」ツール線画の塗りたい部分(今回は肌部分)をクリックします、が。

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(クリック拡大可能)

色トレスをしやすいようにパーツごとに線画レイヤーを分けて作っていると、線画が閉じていない状態なのでほぼ画面全体を選択してしまいました。


こうならない為には

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(クリック拡大可能)

線画をまとめた線画フォルダを選んでから、塗りたい部分を自動選択ツールでクリックしましょう。


もしくは、

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線画フォルダを選び、その上の項目「領域検出元に指定」にチェックを入れれば、別のレイヤーを選んでいる状態でも線画フォルダから選択範囲を検出するようになります。


選択を解除せずに、続けて同じ色で下塗りする肌の部分を自動選択ツールでクリック、クリック。

この段階では細かい部分を気にせず、ざっと選んでいって構いません。



肌の部分を大体選んだら、選びきれなかった細かいところを追加で選択していきます。

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ツールパレットの中から「選択ペン」を選び、自動選択で選択しきれなかった部分を塗り潰していきます。

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色レイヤーの順番

前髪  ↑上
   

後ろ髪 ↓下


と重ねるので、下のレイヤーの色ははみ出して塗って構いません。

はみ出して塗った方が線画と塗りの隙間が出来にくく、とくにオデコと前髪部分は頭皮を意識して肌色をはみ出して塗るのを推奨。

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上に何も色レイヤーがこない部分にはみ出してしまった場合、ツールパレットの「選択消し」を選び、消しゴムで消すようにはみ出した部分を削れば大丈夫です。

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肌部分を全て選択し終わったら、色塗り用の「肌レイヤー」を選択してバケツで肌色をザバーッと流し込んで肌部分の下塗り完成





細かい部分の修正


肌部分の選択→バケツで塗り潰し」の同じ要領で後ろ髪前髪も塗り潰します。

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しかしあまりに細かすぎて自動選択選択ペンで綺麗に選びきれなかった髪の毛先などは、塗り潰した後に消しゴムで整えていきます

色によってはこのままだと見えづらいので、

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一番下に新規レイヤーを作成し、はみ出しが見やすい色を使い一面バケツで塗り潰し

白画面が眩しいので、私は最初から一番下に塗り潰したレイヤーを置いています(大体目に良さそうな緑)。

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見やすくなったところで、毛先の流れに沿って消しゴムでサッサッと尖らせていき、細かい部分の修正完了。



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必要に応じて白目や顔のパーツも下塗りし、下塗り完成



これで色塗りの基盤が出来ました。

細かい作業になりますが、頑張って丁寧に仕上げましょう!



塗り:影付けメイキング(アニメ塗り)


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